【スタッフインタビュー】〜澤田旺祥〜Vol.2

2021年05月13日

 

こんにちは。リオペードラグループ株式会社でインターンシップをさせていただいている河地一樹です。

スタッフにインタビューをし、魅力を発信したいという想いから記事を書かせていただきました。

 

 第2回目となる今回は、リオペードラ加賀で、U15のサッカー指導者、無農薬での農業を担当し活躍されている澤田旺祥(さわだあきやす)さん(以下旺祥くん)です!

 石川県で育った旺祥くん。まだ22歳ですが異色の経緯を持っています。今までの人生を振り返ってもらって、今リオでどんな想いをもって活動をしているのか、語っていただきました。

 

 あきやすくんは中学生の時にリオと出会い、サッカーが大好きになり、プロサッカー選手になることが夢でした。しかしある出来事で挫折し、プロへの道が途絶えます。

「失敗を恐れて行かなかった自分に対して後悔している」

 

河地:

リオペードラ加賀(以下リオ)と出会った経緯は?

 

澤田:

体験で訪問したとき、環境良くて、雰囲気良くて、ボールいっぱい触れて楽しくて、、、リオ以外の体験を行かなかったんですよ。(笑)

 

 現リオペードラ加賀代表 八嶋昴旺輝さん(以下しょうきさん)に出会い、リオでサッカーを存分に楽しみ、しょうきさんのつながりで高校はサッカーの名門校中央学院高校サッカー部に進学し、3年の夏休みにはドイツにサッカー留学をしました。

 

河地:

ドイツに高校生の時に行くって、勇気があることだと思います。なぜ行くことができたんですか?

 

澤田:

ドイツのシュツットガルトに行きました。昴旺輝さんがプロサッカー選手の酒井高徳選手(当時ドイツ一部 シュツットガルト所属)の代理人と繋がっていて、行くことができました。プロになりたいと当時強く思っていて、高校卒業後はドイツにいくつもりで、そのための準備として行きましたね。

 

河地:

そこで感じたのは??

 

澤田:

行って練習に参加していたんですが、その時の高校生の心理で「これは難しいな」と感じました。ドイツは日本と違い、10部リーグまであったりするので、チャンスはあると言われていました。でも、考え方、マインドを変えないとやっていけないと代理人の方に言われましたね。

 

河地:

何が何でもやっていけるくらいのメンタルが必要…

 

澤田:

ドイツ人は切り替えがとにかく早くて、日本人がよく持つマインドは嫌いです。例えば練習試合に出さしてもらえることになった時に監督に、「迷惑かけないように頑張ります。」とLINEを送ったら、「どういうこと?」って返ってきました。

当時の僕は、ボール取られないようにとか、チームの足を引っ張らないようにというニュアンスで言った言葉でしたが、「誰がそんな指導を日本でしてるんだ?」と返ってきました。

ボールを取られても迷惑じゃないという考え方です。

 

河地:

そもそもサッカーしてるのに迷惑なんてかけるもんやろってことですよね。僕もそれは全く思えない選手だった…

 

澤田:

そうです。いくらボールを取られても、違う結果を出せば(一点取ったりとか)評価してくれる。ボール取られることに迷惑なんてないんです。そこの切り替えがめちゃくちゃ早かったです。

 

河地:

失敗するという概念がない。

 

澤田:

僕の言動は「失敗しないように頑張ります」って言ってるようなもんで、弱気になってたんだと思います。フィジカル的にもきつかったですね。当時、「自分じゃまだ無理や」と思ってしましましたね。

 

河地:

後悔していますか?

 

澤田:

はい。今のマインドなら、やってみたら良かったと思いますね。結果が出ても出んくても、一年くらい挑戦したらよかったなと思います。失敗を恐れて行かなかった自分に対して後悔していますね。

 

当時の自分の決断に後悔している旺祥くん。しかし、この経験は彼のその後の選択に、大きな影響を及ぼすこととなります。

 

現在リオのアカデミーU15を中心に指導を行っているあきやすくん。日頃どんなことを意識して子どもたちと関わっているのでしょうか。

「生活=サッカー」

 

河地:

今コーチとして子ども達に関わっているうえで、いつも伝えてること、大切にしていることってありますか?

 

澤田:

小さなことでもごまかさないことですかね。

高校サッカーの選手権でPKを外したんですが、そのとき思ったのが、「日頃の行いのつけが回ってきたな」って。

河地:

日頃の行い?

 

澤田:

例えば、ポイ捨てしている自分がいました。関係ないかもしれないけど、そういう小さいことでもリンクしている。神様は見ていて、勝負は細部に宿るって感じた瞬間でした。生活=サッカーを伝えたいです。周りに流されず、自分の芯を持ってほしい。サッカー云々もですが、これから生きていく人間として、生活も大事にしてほしい。

 

 旺祥くんは高校卒業後大学に進学しますが、4ヶ月で中退し、農業の専門学校に行くこととなります。その決断の真意に迫ります。

「何のために大学行っとるんかな」

 

河地:

高校卒業後、どういった経緯でリオに行き、今の仕事をすることとなりましたか?

 

澤田:

大学に進んだのは、サッカー選手になることが目的でした。けど、今まで中学・高校と普通じゃないところでサッカーをしていたから、物足りなくなりました。プロへの気持ちも薄れていきました。サッカーが主に、授業があるという感覚だったので、「何のために大学に行ってるのか」を考えたときに、自分の中で意味がないかもしれないと気づきました。

 

河地:

その気づきは、前提としてリオで培った成長思考や、高校でドイツに行った経験、後悔の気持ち、挑戦心があるんちゃうかなって思います。大抵の人は、勉学を極めて励む人でない限り、勉強をしながらも「遊べる」と思うじゃないですか。僕も大学の時、最初は遊べると思ったんですけど、半年後くらいに「この時間どうなん?」っていう違和感を感じていました。

 

澤田:

そうですね。そういう感覚はなかったです。どこかで一度目指したプロを断念した後悔もありますし、「これできるまでやりきりたい」という気質があるんかなって思います。

 

河地:

中途半端に生きたくない。そういう根本の生き方を実際にしてるって、コーチとして子どもと関わるうえでもとても大切だと思います。

 

澤田:

自分を探すためにも世界一周しようかなと思っていました。でも、そのタイミングで代表の昴旺輝さんからたまたま会って、「何してるん」って言われたのがきっかけで、農業の専門学校に行くことになります。(笑)

 

河地:

そこからだったんですね。

 

澤田:

その時にしょうきさんに、「これからリオで農業を始めることにしたから、学校があるんやけど行かん?」って言われて。(笑)

 

河地:

そんないきなり(笑)

 

澤田:

え?ってなって、そもそも興味なかったし、家が農家でもなかったんで(笑)。

 

河地:

農業要素ゼロだったんですね。(笑)そこから?

 

澤田:

一回話を聞いて見ようと思って聞くと、授業料はかからないし、実務体験もあって、おもしろそうやなって思いました。でも、書類選考と面接があるんですけど、何週間後とかなんですよ。(笑)これは何かの“知らせ“なんじゃないかなって思って、優先順位も考えて今やるべきことはこれや!と思いました。

あと食べるものを自分で作れたら、最低限食っていけるなとも思いましたね。

 

河地:

そこから申し込んだんですね。

 

澤田:

大学を辞める手続きをすぐして、1週間で進めました。

 

河地:

方向転換のスピード感がすごい。(笑)

 

澤田:

勢いは大事ですよね。(笑)ドイツの時に、自分で道を閉ざした後悔があったので。他の学生とは違い、農業知識ゼロからのスタートだったんで難しかったですが、あの決断をしてよかったなと思っています。

河地:

ここから、旺祥くんが出会った「農業」について話していこうと思います。農業という仕事をしていく中で学んだこと、大事にしていること、自分の色、どんなこだわりをもってやっているのか教えてください。

 

澤田:

まずはリオとしてこだわっているのが、“無農薬“であること。なぜ無農薬にこだわるかというと、農薬(殺虫剤、殺菌剤、除草剤)を使っている野菜は発がんリスクを高めること。消費者だけでなく、生産者である農家の人が吸ったり肌で触れることで脳梗塞とかで倒れることもある。消費者としても、野菜というのは健康食品であるイメージ。でもそれが逆に健康でない。本当は毒。海外の人ではたまに、日本の野菜は食べなかったりする。農薬使用ランキングで日本はトップレベルです。

 

河地:

その事実を多くの一般消費者は知らないですし、僕も半年前まで知らなかったです。果たして安全の基準とは何なんだろうと考えさせられますね。日々虫に食べられていなくて綺麗で菌もいなくて安全だと思って食べているのは、むしろ危険かもしれないことに。

 

澤田:

とはいえ僕も最初は無農薬が安全に育てられると思えなくて。でも様々な人との出会いで、無農薬の概念が変わりました。逆に農薬使ってるから匂いに反応して虫が来るとか、虫が来た方がおいしいだったりとか。

 

河地:

農業学校では無農薬の大切さなどを教えてもらえなかったんですか?

 

澤田:

教えてもらえなかったですね。野菜の育て方、たくさん採る方法とか基礎ですね。

 

河地:

How toが多いんですね。農業の概念、農業を知るうえで大事なコトなどは学ばないんですね。

「心技体の土台に“食”」

 

河地:

ではなぜそこまでして、スポーツ育成を推すリオが無農薬の農業にこだわるんでしょうか。

 

澤田:

スポーツには「心技体」の三つが根幹として大事というのがあります。今まで生きてきてそれしか知らなかったですよね。でも、よく考えたら、その根本に支えている「食」があるんではないかという考えでやっています。じゃあその日頃食べるものは何がいいのか?ってなった時に無農薬の野菜が一番身体に良いと行きついたためです。

 

河地:

身体と心もリンクしていますもんね。

 

澤田:

サッカーやスポーツ、運動をするうえで身体に良いものを食べてもらうためにもそんな野菜を作らなければいけないってなりました。

 

河地:

それが選手を創ることにもなる。

 

澤田:

子どもたちへの食育にもつながります。農業の収穫体験を通じ、自分達が食べているものを実際に触ってみることで自然とのつながりを感じること、また農業の楽しさと大変さを知る機会になるといいなと思っています。土を踏んでいると自然エネルギーで心も浄化されますしね。

 

河地:

今の社会でなかなかそんなことを子どもが実感できる機会って少ないと思うので、すごくいいなって思いましたし、どんどん数を増やしてほしいなって思います。

これからの展望は?

 

澤田:

今はまあぶるきっず(学童)の子どもたちが中心に野菜を食べてもらったり、調理してもらってます。これをどんどん大人の方にも広げていきたいですし、一階のフロントや外のスペースで市場(マルシェ)みたいにできたら最高ですね。ちょっと高くても買いたいと思ってもらえるように、ここでしか買えない野菜を作りたいです。そして、リオに訪れた人ならここで買うのが当たり前くらいになるのが理想です。

 

河地:

理想は大きくですね。

 

澤田:

もしその後ずっと買ってもらうとはいかないお客様でも、「そういうのんもあるんや」というきっかけで身体のことに、食事のことに気を遣う人が少しでも増えてほしい。それを作ることができたら、僕がやっている意味や価値があるなと思います。

 

河地:

知って選択をする。選択肢として提示できるのが素敵ですね。

ここまで聞いてきて、本当にただ農業しているわけではないですね。

 

澤田:

リオでなくて、普通に農業をしているだけやったらここまで考えられていなかったです。おいしい野菜を届けたい。その気持ちはもちろん大事だけど、届けて、それを食べて“その後“どうなるかまで考えられてるのはここじゃないとなかったです。ただ作るだけではAIでもできてしまう。その先を創りたい。

また、まあぶるきっずスクールや、障がい者福祉サービス事業所すくすく加賀のおやつなども含め、リオに関わる「食」をすべてこの作物で作るところまでもっていきたい。

だから野菜だけでなく果物や畜産、農場もしてみたい気持ちがあります。そして、他府県から来た人や世界から来た人にも、自分の野菜からできた食べ物を笑顔で食べてもらってる景色を見たいですし、リオを通じて、本当の「イイモノ」を伝えていきたいです。

 

 サッカー選手になる人生とはならず、後悔の念を持っていた旺祥くんだからこその人生選択、働き方がありました。そしてそれは、リオのコーチとして、農業従事者としてこだわりや想い、情熱とビジョンを聞くことができました。今後のあきやすくんの活躍に目が離せません!!!

 

インタビュアー、記事:河地一樹

インタビュー:澤田旺祥

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